スポンサーサイト

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    ロシアのチェルノブイリ関連番組と被曝の現実

     現在の高速化したインターネット環境では、文字や音声よりも動画を探した方が、あるテーマに関して未知だった情報を短時間に得ることができる場合が多い。少なくとも、ロシアの報道やインタヴュー番組に関してはそう言える。

     著作権者が自分で公表している場合もあるそれらの動画は、日本やイギリス等のテレビ番組と比べて作りが違うわけではない。テレビというメディアに特有の、取材にかける時間や予算の制約もある。ただ、ロシア特有のテーマや取材対象に関しては、やはり踏み込み方が違い、情報量も圧倒的に多い。

     例えば、チェルノブイリ原発事故の後、モスクワから現場近くに飛んで一定期間、除染作業の指揮を執っていた科学者に、その後どのような症状がいつごろから出たのかといった情報である。この科学者の名前はヴァレーリー・レガソフといい、専門は化学だがチェルノブイリ原発事故に関してウィーンのIAEA会議で報告を行い、何とかソ連の体面を保った人物である。彼は、もちろん危険は承知の上であろうが、事故後の3ヵ月間、事故現場の除染作業の指揮をしたという。彼ほどの高官レヴェルの科学者にしては異例のことだった。

     レガソフは、もちろん自らヘリコプターで原子炉の上に砂を投下したり、建屋に散乱した黒鉛を片付けたわけではない。防護服も着けていたはずだ。
     稼働して数年しか経っていないチェルノブイリ原発4号炉の爆発によって放出された放射能の量は、数十年稼働し続けた挙句に4基もの原子炉が破壊された福島第一原発事故の場合よりも、少なかったと考えるべきだろう。
     しかし、それでもレガソフは、事故から1年以内に癌に罹っている。体力が弱まり、睡眠不足に悩まされるようにもなっていた。これは黒鉛を除去したり砂を投下して数週間後に亡くなった作業員達の場合と違って、急性の外部被曝ではなく、内部被曝の結果である。

     日本のネット上ではよく、内部被曝の場合は発病に数年かかるという意見がみられる。それは本当だろうか? 急性の外部被曝は、被害者の外見をたちまちのうちに変える。数週間で手足の皮膚が靴下のようにはがれ、ひどい場合には病院に運び込まれてから妻が面会に来ても「彼はもう原子炉のようなものだから触ってはいけない」と注意されるほど汚染され、妻の目の前で内臓を口から吐き出しながら死んでいった男性もいるのである。

     レガソフは、国際舞台でソ連の威信を保つための報告を任されたほどの人間だったから、被曝対策はそれなりにしていたはずで、本人の希望がなければ3ヵ月も現場の指揮を執る必要もなかった。その3ヵ月の間に、主に呼吸や飲食を通じて体内に入った放射性物質が、彼の肉体を内部から蝕んだのだ。

     ここで私が書いた情報は、2004年にロシアで放映された30分枠番組のアーカイヴから得たものである。番組のタイトルは、確か「ヴァレーリー・レガソフの死の秘密」というものだった。ロシア語の分かる方は、この動画を検索することもできるだろう。タイトルを直訳してヤンデックスで調べればよい。ちなみに、彼はまだソ連が解体する前に自宅で首をつっているのを発見されたが、本当に自殺だったかは不明である。

     昨年、「食べて応援」キャンペーンに踊らされ、自分でもおそらくそれを信じきって被害県の農作物や魚介類を食べた民放テレビのキャスターがいたが、彼が年末を待たずに白血病になったことをご記憶の方もいるだろう。
     内部被曝には食物連鎖による放射能の生物濃縮も関係してくるので、魚介類等を食べれば3ヵ月間現場近くで空気を吸っていた科学者と同程度の被曝をうける可能性があるのではないだろうか。
     「内部被曝の場合は早くとも数年後にしか発病しない」というのは、一体どれだけのデータに基づく「常識」なのだろうか?
    関連記事
    スポンサーサイト

    コメントの投稿

    管理者にだけ表示を許可する

    プロフィール

    Shusei Nishi

    Author:Shusei Nishi
    私の専門は映画であり、映画と音楽には相違点も勿論ありますが、多くの共通点もあります。個人的には、映画は現在の形よりもっと音楽的であっていいのではないかと考えています。

    ここでは批評やレヴューというほどではなく、偏愛する音楽と映画、そして生活全般における“別の選択”について書いてゆきます。

    最新記事
    リンク
    Amazon e-Store Alternative Life
    Related Items on Amazon.co.jp

    Copyright © Notes on Music, Cinema and Culture by 西周成 All Rights Reserved.
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。